化粧品全成分表示の規則にある「抜け穴」
最近 お客様からの質問等で 他社の化粧品について「どう思いますか?」という
ご質問をよく頂くようになりました。
このような場合、多くのメーカーさんでは 他社製品については「分からない」という
ことで、ほとんどコメントしない というのが通常だと思います。
しかし、私は 自分自身が化粧品の技術者だったので、全成分が表示されている
URLさえお教えいただければ そこから判断してお答えできることはお答えする と
いう姿勢で、詳しい回答を行っています。
それで お客様は その「他メーカー」さんに直接メールや電話などで質問する前に、
私に聞けば何かしらの知りたい情報が得られるのではないかと思って、ご質問を
頂いているのだと思います。
これはすごく有難いことです。
私を信用していただいていると同時に、当社の姿勢を評価していただいている という
ことですから。
そのような中で、この頃、他社化粧品の全成分表示をじっくり見る機会があって
じっくり見たことで、全成分表示が どう考えてもおかしいメーカーが
いくつか存在することに気が付きました。
化粧品の全成分表示は 配合されている全ての成分が表示されているのだと
思っておられる方が多いと思います。
実際 当社の化粧品の場合はそうです。
しかし、全ての化粧品メーカーが配合している全成分を表示しているわけじゃないのですよね。
化粧品の全成分表示のルールには 以下のような「抜け穴」的ルールが存在します。
「配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で
製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆる
キャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。」
薬事法における化粧品の表示
「キャリーオーバー成分」という言葉が分からない方もいらっしゃると思うので
説明すると、動植物から抽出したようなエキスや油に 腐敗防止のための防腐剤や、
油が酸化しないよう、酸化防止剤を添加する場合が多々あります。
このような場合、その動植物抽出物を 化粧品に配合した場合、防腐剤や
酸化防止剤まで化粧品中に混入してしまいますが、これを 全成分表示のルールでは
「表示しなくてよい」と、なっているのです。
皆さん、これどう思いますか?
もともと 防腐剤のパラベンやフェノキシエタノールが入っている化粧品ならば
エキスにもそれらが入っていたとしても 大した問題ではないでしょう。
しかし、それが「無添加化粧品」とか「防腐剤不使用」と広告しているメーカーだったと
したら、そのような化粧品を許せますか?
しかし、信じたくないのですが 実際にあるのです。
キャリーオーバーでパラベンが混入した「無添加化粧品」が・・・。
それと、もうひとつ 信じられないような「抜け穴」ルールが全成分表示にあります。
「抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載する。
ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」
薬事法における化粧品の表示
上記のどこが「抜け穴」かと言うと、
「ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」という部分です。
これを理由に なんと 植物エキスの溶媒を表示していない「無添加化粧品」メーカーが
存在していました。
これはあるお客様から その無添加化粧品の購入を検討しているけれども、
どう思いますか?というご質問をいただいて、私がメーカーHPを見に行って
おかしなことに気が付き、発覚したものです。
私はそのお客様にこのようにお伝えしました。
「メーカーサイトで全成分を見てきましたが、植物エキスの溶媒が表示されていない
可能性が高いです。溶媒は 全成分表示のルールでは表示しなければならないものです。
それを表示していないということは 薬事法違反でもあり、メーカーの姿勢として
『不誠実』と言わざるを得ません。」 と。
そしたら そのお客様が 植物エキスの溶媒について、そのメーカーに質問したようです。
返ってきた答えが
「植物エキスの溶媒についてはBG(ブチレングリコール)を使用しています。
ただし、化粧品中に残っている量は ほとんどゼロです。」というものだったそうです。
ちなみに、そのメーカーの全成分表示には BG という表示は一切なく、
「化学合成成分不使用」と広告しています。
溶媒にBGを使用しているが、化粧品中には残っていない・・・これは信じられない
ような答えですね。思わず苦笑いです。
化粧品の処方中では
植物エキスの配合量=エキスの溶媒の配合量 です。
分かりやすい例でいうと、「梅酒」を想像していただけるとよいと思います。
梅を漬け込んでいるホワイトリカー(焼酎)が「溶媒」なのです。
「植物エキスを配合しているのに溶媒は残っていない」というのは
梅酒を飲んでいるのに「"酒"は飲んでいない。梅のエキスだけを飲んでいる」と
言っているのと同じことなのです。
また、BGの沸点(液体が気体になる温度)は203~204℃もあります。
化粧品を作る工程で そのような高沸点のものが蒸発して消えてなくなることは
まずあり得ないのです。
実際、BGよりもずっと低い78℃が沸点のエタノールでさえ、最終製品中に
しっかり残ります。
それなのに 「化粧品中に残っている溶媒はほとんどゼロ」だという言い訳を
するのは 上記のように
「ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」
という「抜け穴」が存在するから、それを悪用して言い訳しているだけなのです。
ちなみに、このメーカーは
「キャリーオーバーまで厳重に調べ、防腐剤などの残留のない安全なものだけを使用しています」
と、メーカーサイトに広告しています。
いくらキャリーオーバーの防腐剤が入っていなくても、それよりも圧倒的に
多い量である「溶媒」が表示されていない というのは 薬事法違反でもあり、
もしも お客様の中で 溶媒のBGやエタノールがお肌に合わない方がご使用された
場合、全成分に溶媒が表示されていないので、
「避けたいものを避けることができない」ということになりますよね。
このような嘘の表示を行っている化粧品が あってよいものでしょうか?
しかし、現実にそのようなメーカーが存在していて、多くのお客様が 配合された全成分が
表示されていないことを知らずにご購入されているのです。
「無添加化粧品」やナチュラルコスメが普及するのは 喜ばしいことと思っておりましたが、
よく全成分を確認すると、いくつかのメーカーにはひどい実態があることが見えてきました。
キャリーオーバー、もちろん溶媒も含めた全ての配合成分を表示し、その配合目的を公開する
という「誠実な化粧品」をアピールしているGlobal Beautyですから、
私のブログでは 「騙されない」ための全成分表示の見方 について、
今後 折に触れてコメントしていこうと思っております。
というわけで、今後も当ブログをご覧いただければ幸いです。
こだわりの無添加コスメ Global Beauty
ご質問をよく頂くようになりました。
このような場合、多くのメーカーさんでは 他社製品については「分からない」という
ことで、ほとんどコメントしない というのが通常だと思います。
しかし、私は 自分自身が化粧品の技術者だったので、全成分が表示されている
URLさえお教えいただければ そこから判断してお答えできることはお答えする と
いう姿勢で、詳しい回答を行っています。
それで お客様は その「他メーカー」さんに直接メールや電話などで質問する前に、
私に聞けば何かしらの知りたい情報が得られるのではないかと思って、ご質問を
頂いているのだと思います。
これはすごく有難いことです。
私を信用していただいていると同時に、当社の姿勢を評価していただいている という
ことですから。

そのような中で、この頃、他社化粧品の全成分表示をじっくり見る機会があって
じっくり見たことで、全成分表示が どう考えてもおかしいメーカーが
いくつか存在することに気が付きました。
化粧品の全成分表示は 配合されている全ての成分が表示されているのだと
思っておられる方が多いと思います。
実際 当社の化粧品の場合はそうです。
しかし、全ての化粧品メーカーが配合している全成分を表示しているわけじゃないのですよね。
化粧品の全成分表示のルールには 以下のような「抜け穴」的ルールが存在します。
「配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で
製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆる
キャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。」
薬事法における化粧品の表示
「キャリーオーバー成分」という言葉が分からない方もいらっしゃると思うので
説明すると、動植物から抽出したようなエキスや油に 腐敗防止のための防腐剤や、
油が酸化しないよう、酸化防止剤を添加する場合が多々あります。
このような場合、その動植物抽出物を 化粧品に配合した場合、防腐剤や
酸化防止剤まで化粧品中に混入してしまいますが、これを 全成分表示のルールでは
「表示しなくてよい」と、なっているのです。
皆さん、これどう思いますか?
もともと 防腐剤のパラベンやフェノキシエタノールが入っている化粧品ならば
エキスにもそれらが入っていたとしても 大した問題ではないでしょう。
しかし、それが「無添加化粧品」とか「防腐剤不使用」と広告しているメーカーだったと
したら、そのような化粧品を許せますか?
しかし、信じたくないのですが 実際にあるのです。
キャリーオーバーでパラベンが混入した「無添加化粧品」が・・・。
それと、もうひとつ 信じられないような「抜け穴」ルールが全成分表示にあります。
「抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載する。
ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」
薬事法における化粧品の表示
上記のどこが「抜け穴」かと言うと、
「ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」という部分です。
これを理由に なんと 植物エキスの溶媒を表示していない「無添加化粧品」メーカーが
存在していました。
これはあるお客様から その無添加化粧品の購入を検討しているけれども、
どう思いますか?というご質問をいただいて、私がメーカーHPを見に行って
おかしなことに気が付き、発覚したものです。
私はそのお客様にこのようにお伝えしました。
「メーカーサイトで全成分を見てきましたが、植物エキスの溶媒が表示されていない
可能性が高いです。溶媒は 全成分表示のルールでは表示しなければならないものです。
それを表示していないということは 薬事法違反でもあり、メーカーの姿勢として
『不誠実』と言わざるを得ません。」 と。
そしたら そのお客様が 植物エキスの溶媒について、そのメーカーに質問したようです。
返ってきた答えが
「植物エキスの溶媒についてはBG(ブチレングリコール)を使用しています。
ただし、化粧品中に残っている量は ほとんどゼロです。」というものだったそうです。
ちなみに、そのメーカーの全成分表示には BG という表示は一切なく、
「化学合成成分不使用」と広告しています。
溶媒にBGを使用しているが、化粧品中には残っていない・・・これは信じられない
ような答えですね。思わず苦笑いです。
化粧品の処方中では
植物エキスの配合量=エキスの溶媒の配合量 です。
分かりやすい例でいうと、「梅酒」を想像していただけるとよいと思います。
梅を漬け込んでいるホワイトリカー(焼酎)が「溶媒」なのです。
「植物エキスを配合しているのに溶媒は残っていない」というのは
梅酒を飲んでいるのに「"酒"は飲んでいない。梅のエキスだけを飲んでいる」と
言っているのと同じことなのです。
また、BGの沸点(液体が気体になる温度)は203~204℃もあります。
化粧品を作る工程で そのような高沸点のものが蒸発して消えてなくなることは
まずあり得ないのです。
実際、BGよりもずっと低い78℃が沸点のエタノールでさえ、最終製品中に
しっかり残ります。
それなのに 「化粧品中に残っている溶媒はほとんどゼロ」だという言い訳を
するのは 上記のように
「ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。」
という「抜け穴」が存在するから、それを悪用して言い訳しているだけなのです。
ちなみに、このメーカーは
「キャリーオーバーまで厳重に調べ、防腐剤などの残留のない安全なものだけを使用しています」
と、メーカーサイトに広告しています。
いくらキャリーオーバーの防腐剤が入っていなくても、それよりも圧倒的に
多い量である「溶媒」が表示されていない というのは 薬事法違反でもあり、
もしも お客様の中で 溶媒のBGやエタノールがお肌に合わない方がご使用された
場合、全成分に溶媒が表示されていないので、
「避けたいものを避けることができない」ということになりますよね。
このような嘘の表示を行っている化粧品が あってよいものでしょうか?
しかし、現実にそのようなメーカーが存在していて、多くのお客様が 配合された全成分が
表示されていないことを知らずにご購入されているのです。
「無添加化粧品」やナチュラルコスメが普及するのは 喜ばしいことと思っておりましたが、
よく全成分を確認すると、いくつかのメーカーにはひどい実態があることが見えてきました。
キャリーオーバー、もちろん溶媒も含めた全ての配合成分を表示し、その配合目的を公開する
という「誠実な化粧品」をアピールしているGlobal Beautyですから、
私のブログでは 「騙されない」ための全成分表示の見方 について、
今後 折に触れてコメントしていこうと思っております。
というわけで、今後も当ブログをご覧いただければ幸いです。
こだわりの無添加コスメ Global Beauty
スポンサーサイト
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
コメントの投稿
トラックバック
http://globalcosme.blog133.fc2.com/tb.php/757-137106d2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)