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2023-10

日本の医療は崩壊したのか?

ちょっと衝撃的なタイトルに興味を持って、図書館で借りて読みました。

医療崩壊の真犯人

著者はかつて財務省に勤務。2004~2006年まで厚生労働省に出向し、後期高齢者医療
制度や医療費適正化計画の導入などからなる2006年度医療制度改革に関ったそうです。

日本は 平均寿命が 女性が世界第一位、男性が第三位ということから分かるように、
(ちなみに2010年度は男性は第4位。この本が出版された2009年の時点(2008年度順位)
では第三位だった)日本の医療は 依然として国際的には高い水準にあると。

ただ、救急医療の「たらい回し」などが起こっている原因は 「二次救急病院」と
呼ばれる地域の救急医療の拠点病院が どんどん救急対応をやめていき、本来
「二次救急病院」で対応しきれないような高度の医療を提供すべき「三次救急病院
(救命救急センターなど)」が 一次から二次救急の対応にまで追われていることで
あると書かれています。

一次救急・・・地域の当番医、休日夜間急患センターなど 入院の必要がないような
       軽症の患者を診るところ。
二次救急・・・地域の救急患者を受け入れる中核的病院。入院の必要がある患者を
       受け入れる病院
三次救急・・・急性心筋梗塞や脳卒中など、二次救急でも対応しきれない患者を
       受け入れる大病院

という使い分けが 本来なされるべきところ、二次救急病院が「医師不足」や
「救急対応をしても、収益に見合わない。」という理由で 救急への対応をやめる
ところが続出していることが原因であると。

救急車の出動件数のうちの半数は軽症の事例だそうで、救急車を呼ぶ私たちのほうの
モラルの問題も大いにあると書かれています。
この部分は 私も大いに同意するところですね。

医師不足を招いた原因は やはり厚生労働省にある。
1980年代以降、ずっと医師数を抑制してきたからです。
1970年代に医学部の新設ラッシュが起こり、その後1982年に医師数を抑制するよう方針が
決まり、医学部定員を削減したそうです。

不思議だなと思ったのは このとき、医師と歯科医師の人数を抑制するように方向性が
決まったようですが、この官僚主導によって、医師は大幅に不足し、なぜか歯科医師は
過剰になったことですね。

歯科医師の場合、開業する人が多いのが どうしても過剰になってしまう原因で
しょうか。
ちなみに東京都では コンビニの数より歯科医院の数のほうが多いと言われています。

医師については全体の人数が足りていない上に、外科や産科など、「訴訟リスク」が
高そうな科に 進む人が少ないのが 大いに問題ですね。
これについては産科で良い制度が導入されたそうです。

それはお産1件毎に分娩機関が三万円の掛け金を負担し、出生した赤ちゃんが補償対象と
認定された場合は その赤ちゃんに対して一時金600万円と分割金が20年にわたり、
総額2400万円、計3000万円が保証金として支払われるというものだそう。

こういった補償制度をその他の診療科にも広げるべき、と書かれていて、これは 
是非そうしてほしいと思います。

もちろん、単純ミスによるあってはならない医療事故や、明らかにずさんな方法で手術が
行われた場合はマスコミが糾弾すべきことですが、元々 助かるかどうか、分からない
ような手術での執刀医の責任を追求するようなことは、決して社会の為にならないと
思うので・・・。

このように書かれていた言葉が印象的でした。

+++++++
人間はいつか必ず死ぬということ。
医療が不確実であるということは、本来社会の共通認識であるべきだと思います。
しかし現実には ほとんどのメディアが不確実性を受け入れようとせず、一方的に
患者と医師の対立を煽ってきたところがあります。
+++++++

たしかに、その通りですよね。
訴訟リスクを恐れて研修医が進む診療科が偏在してしまうことに加え、勤務医をやめて
個人の医院を開業する医師が増えています。
これも激務を避け、リスクを避けてそのような傾向になっているのでしょうし、特に
大学病院の医師の年収は医師の中でも極端に低いですから、待遇面からも「これ以上
続けられない」という精神状況になって当然だと思います。

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同和利権と銀行の根深い関係

田中森一さんの本、溝口敦さんの本と読んできて、次に読んだのがこれで、非常に
面白かったです。

同和と銀行

田中森一さんの本は自伝で、闇社会の人物が色々と登場しますがあくまで主役は
田中さん本人。
溝口さんの「食肉の帝王」は ハンナングループの総帥、浅田満氏が主役。

この「同和と銀行」は同和団体のドン、小西邦彦氏と元三和銀行(現在は三菱東京UFJ
銀行になっている)淡路支店の取引先課長だった岡野義市氏を中心に、ノンフィクション
ライターの森功さんが 岡野義市氏へインタビューした内容を中心に書かれています。

同和団体のドン、小西邦彦氏は 部落解放同盟大阪府連合会飛島支部長であり、
その部落解放同盟大阪府連合会飛島支部が設立したのが財団法人「飛島会」です。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますがこの「飛島会」は大阪市との間で、
JR新大阪駅のすぐそばにある駐車場の利権を独占し、ボロ儲けした財団法人で、
小西邦彦氏は2006年、業務上横領容疑で逮捕されています。(現在は故人)

この本を読むと、同和の問題というのは 本当に根深いものだということがつくづく
よく分かりました。
エセ同和団体や同和利権をふりかざす団体だけが悪いのではなく、銀行や行政も 
エセ同和団体やヤクザなどの反社会的団体を「利用」している部分があるのです。

具体的に言うと、JR新大阪駅の周辺は 戦後のヤミ市の頃から長い間、テキ屋などが 
土地に居座ってきたわけです。
行政としては 駅前を再開発したいのに、そういった連中が立ち退いてくれないし、
たくさんの地主が 別の人に土地を貸したりして、権利関係もややこしくなっている。
これは困った・・・というときに 問題を片付けてくれるのが ヤクザだったり、
ヤクザ出身の小西邦彦氏のような同和団体のボスなのです。
彼らは 土地に居座る連中を金で立ち退かせ、役所の人間が怖くて口も聞きたくない
ような強面の連中にも対峙してくれる。

しかも 同和関連事業は 1969年以降、国策として政府が推進してやってきたものです。
銀行や行政担当者がヤクザと直接取引するのは タブーであっても、同和団体を迂回して
なら、堂々と取引できるし、同和関連事業で、銀行も 金を貸すことで儲け、(同和団体に
所属している)建設業者も甘い汁を吸うことができる・・・という構図です。
市がやっている事業だし、堂々と税金で儲けられるというところが またさらに美味しい
ものなのでしょうね。とにかく酷い、政・官・財の癒着の構図です。

小西邦彦氏は同和団体を利用して 駐車場運営でボロ儲けしただけではなく、
三和銀行には 彼の言うこと(要望)には全部従え、という"お達し"が代々の担当者に
出ていて、銀行もまるで小西氏の飼い犬のようになっていたこと、公共工事に参加する
建設業者も 同和の団体所属企業のみ、あるいは小西氏の許可を得てから・・・という
ほど、同和関連の公共事業で 一手に権力を握っていました。

また、小西氏を迂回する形で 銀行から暴力団や同和関係の建設業者に多額の資金が
流れ、結局 100億融資したうちの80億が焦げ付くという形になりました。
銀行も 暴力団に直接融資するのは問題があるので、同和関連の財団法人を経営している
小西氏を通すほうが都合が良かったからです。

国税と部落解放同盟との申し合わせによって加盟企業や個人の税金が優遇されていることも
先日のブログで書きましたが、そうやって同和関連企業がボロ儲けした利益には 税金は
わずかしかかからない・・・という非常に不公平なものとなっています。
例えば、小西氏が 地上げで10億円の利益を上げたときに支払った税金が わずか
5,000万円だったとか、書いてあります。
こんなとんでもない優遇のされ方、明らかにおかしいですよね。

こんなことも書かれています。

+++++++
「税金の申告時期になると、同盟会館に国税担当官がやってきて、メンバーの業者に
税金指導をしてくれた。
普段は徴収する側の職員が 逆になるべく税金を納めなくて済むよう、申告書を作成
してくれるのだから、有難い。」
+++++++

しかし、ヤクザは 社会にとって「必要悪」なのだ・・・という人がいます。

その意味が私は分からなかったのですが、そういうことなのか・・・というのが
この本を読んで なんとなく分かるところはありました。
ヤクザやエセ同和団体は むしろ 行政や銀行、企業、政治家、芸能人や力士などの
ほうが その「力」を借りようとして、彼らをのさばらせてきたところもあるの
だと・・・。(「ヤクザは同和が6割、在日が3割」と言われるように、同和団体
幹部は 大部分、暴力団の構成員だった過去を持っていると思います。)

2002年に 形の上では「同和対策特別措置法」は その効力がなくなった・・・と
ありますが、果たしてそれは本当でしょうか?

全国一被差別部落の数が多いという私が住む福岡県では 未だに同和関連予算が
ついています。福岡県では 法失効前の01年度までは、毎年100億円(同和加配教員の
人件費を除く)を軽く超える予算を付けてきたし、33年間に一兆円を超す同和対策事業が
実施されてきたのです。
(ちなみに 全市町村での総事業費になると、なんと15兆円です。)

法失効後も福岡県ではまだ年10億以上の予算は付いているようですね。

以前、田中康夫氏が長野県知事だったとき、テレビで 田中さんは (かなり抵抗を
受けながらも)同和関連の予算を全部切った、と言っていました。

「人権問題」を声高に叫び、税金から利権をむしりとろうとする団体ですから、非常に
デリケートな問題とは思いますが、全国の市町村は 勇気を持って同和関連予算を
全廃すべきでしょう。

同和利権を最大限利用し、「帝王」になった男

この人は被差別部落出身の実業家の中では 最も成功した人ではないでしょうか。

食肉の帝王―巨富をつかんだ男 浅田満

食肉大手、「ハンナン」グループの総帥、浅田満氏の半生を ノンフィクション作家で
ある溝口敦さんが綿密な取材に基づいて記した書。

溝口敦さんは 暴力団の山口組に関しても何冊かの書籍を出し、襲撃されるという
被害にも遭いながら、まさに社会のタブーに鋭く切り込む貴重なノンフィクション
ライターですね。

これは「週刊文春」に連載されていたものを加筆して1冊の本にまとめ上げたという
ことで仕方がないのかもしれませんが、書かれている章に時間軸での連続性がなく、
切れ切れになっているところが 少し読みにくかったです。


浅田満氏は 大阪府羽曳野市の出身。
氏の人生についてはウィキペディアに書かれている記事が、この本に書かれて
いることを簡略して記したものと思われますので、興味のある方はウィキペディア
記事をお読みください。

この本を読みたいと思ったきっかけは 先日ご紹介した田中森一氏の本で、田中氏が 
検事をやめ、弁護士になって最初の「事務所開き」のときに1千万円のご祝儀をくれた人が
3人もいて、驚いた・・・とあり、そのひとりが この浅田満氏なのです。

この本を読んで、私がとりわけ問題だな、と思ったのは やはり「同和利権」の問題です。
浅田氏は 部落解放同盟などの同和利権をふりかざし、のしあがって ヤクザや政治家、
力士、芸能人といった人脈を作ってきた人です。

田中氏の本にもありましたが、同和団体加盟企業もしくは個人からの税務署への所得申告は 
事実上 ノーチェックで通すようになっている(しかも、全国的に!)というのが 
この本にはさらに詳しく書かれていました。

大阪国税局と 部落解放同盟や企業連(部落開放企業連合会)との団体交渉の席で、
「同和地区の状況を踏まえて課税する」という申し合わせがなされたというのです。
その一部を抜粋すると

第二項 「同和対策控除の必要性を認め、租税特別措置法の法制化に努める。その間の
措置として局長権限による内部通達によってそれにあてる」

第三項 「企業連が指導し、企業連を窓口として提出される白、青色をとわず自主申告に
ついては 全面的にこれを認める。ただし内容調査の必要ある場合には企業連を通じ
企業連と協力して調査にあたる。」

第四項 「同和事業については課税対象としない。」

第五項 「国税局に同和対策室を設置する。出来るまでの措置として担当は総務部長、
窓口は総務課長とする。」

第六項 「国税部内全職員に対し、同和問題研修会を行う。この際、講師については
府同室及び解放同盟と相談して行う。」


で、その後、この「大阪方式を他の府県にも適用する」との確認が大阪国税局長と
部落解放同盟近畿ブロックとの間で結ばれた。
と本に記載があります。

国税局は表向き、この同和利権団体に与えた特権を否定しています。
しかし、実際には長年の慣習になっているそうで、大阪府羽曳野市に2つの豪邸(敷地5000坪
余り)を構え、60社もの企業を率いて巨額の富を得ている浅田満氏が一度も地域の高額納税者
番付に登場したことがないのも不自然と書かれています。

もうひとつの大きな問題は 覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、2001年、国産牛に
BSEが発生し、全頭検査を行うことになりましたが その前の時点で業者に保管されていた
国産牛を全て国が税金で買いあげて焼却処分するという事態になりましたよね。

このときに国民の税金が合計293億円使われ、日本ハムや雪印が輸入牛の一部も国産牛だと
「偽装」して国に買い取らせていたことが発覚して問題となりました。

浅田氏の関係会社・団体も このときに大量の輸入の牛肉を自身のグループ企業の倉庫で
ラベルを張替え「国産」と偽装、この国による買取事業で50億円をもらって、偽装した牛肉は
素早く焼却しているらしいのです。

このときに国に強く「国産牛」の買取を迫ったのが 鈴木宗男氏で、鈴木氏は浅田氏が
いなければ国会議員に当選できなかった位、浅田氏から巨額の資金援助を受け面倒を
見てもらっている議員であると。

他にも故・中川一郎氏や前・大阪府知事の太田房江氏など、政治家や角界(相撲)のつながり、
山口組との深いつながりなど、実名でたくさん出てきますので、週刊文春でこのようなことを
書いていただけでも 溝口さんには 色々なところから圧力がかかったりしたのではないで
しょうか。

同和利権の問題や暴力団の問題、政治家の資金の問題、色々と 普通のマスコミでは触れ
にくいような「タブー」に切り込んでいけるノンフィクションライターの溝口さん、今後の
活躍も期待したいです。

ノーベル物理学賞受賞者の回顧録

これもAmazonですごく高評価をつけている人が多いのと、先日ご紹介した「大人げない
大人になれ!」の著者の成毛さんが薦められている本なので読んでみましたが、正直 
私には そう面白いとは言えない本でした。

ご冗談でしょう、ファインマンさん

ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士と同時に ユダヤ系アメリカ人のファインマン氏も
物理学賞を受賞されているようです。

幼い頃、自分で家の中に「実験室」を作り、そこでラジオを分解したり、壊れたラジオを
修理したりと、小学生の頃から非凡な才能や並々ならぬ知的好奇心を発揮してきた
ファインマン少年。

得意分野の物理や数学だけでなく、いたずら好きだったり、「人生を楽しむ」達人と
いう感じがありありと伝わってきます。

何かひとつのことに没頭すると周りが見えなくなったり、権威のある人にも噛み付く
というのは ファインマンさんだけでなく、優秀な科学者に 多く見られる
性格的特徴かもしれません。

ただ残念なのは 原爆を作るマンハッタン計画に 彼が喜んで参加したところ。
ユダヤ系なので、アインシュタインと同じく、「ヒトラーのドイツに先に
原子爆弾を開発されたら・・・」という恐怖感が そうさせたのだと思いますが、
ロスアラモス研究所での彼のチームの仕事ぶりは その使用「目的」を知ってから
大いに発奮して成果を上げていったことなどが 少しも悪びれることなく書かれている
ので、日本国民としては とても 嫌な感じがして、後半の部分は あまり
読む気がしなくなり、全文を読まずに、要旨だけをかいつまんで目を通した
だけに終わりました。

それにしても、読書後の感想というのも 人それぞれなのだと分かってはいますが、
Amazonの評価って、私にとってはあんまり役に立たないことが多いです。

なぜ この本がここまで絶賛され、高い評価なのか、よく分かりませんでした。




 




突然「女王様」になった女

これは実在の事件をモデルにした小説です。

東京島 桐野夏生

モデルになった事件は →アナタハンの女王事件

顔もどちらかというと不細工、体型も太っている40代後半中年女という、世間一般的に
見ると「さえない女」である主人公の清子が 夫とふたりでクルーズに出て無人島に漂着。
そこに 与那国島から脱出をはかった23人の若い男性が台風で漂着、さらに中国人男性
11人が島にやってきて、清子は 唯一の女性として(要するに性の対象として)「女王」の
ようにちやほやされるようになるが・・・。

桐野夏生さんの小説は 何冊か私も読みましたが、秀逸なのは やはり
「柔らかな頬」や「グロテスク」ですね。
特に「柔らかな頬」は 最初の1ページ目から、ぐいぐい「桐野ワールド」に引き
こまれます。

「東京島」は これら2つの小説に比べると かなり 落ちるというか、
物語の展開が時間軸に沿ったものではなく、章によって前後したりして
読みにくかったし、最後のほうは中途半端な終わり方で 面白くなく、正直、
がっかりという感じでした。

小説よりも ウィキペディアで読む実際の事件の内容のほうが 数段面白いの
ではないかと思いましたよ。

木村多江さん主演で映画化もされたようですね。
「幸うすい」役が似合いそうな和風美人の木村多江さんが したたかでたくましく、
計算高い清子を演じる・・・というのも 何だかギャップがありますが、
原作の桐野夏生さんの小説そのものが面白くなかったので、映画も見たいとは
思えなくなりました。

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